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北海道内の企業が留意すべき、カスハラ対策(北海道カスハラ防止条例が与える影響)社労士・中小企業診断士・弁護士 内田健太

北海道経済産業局長・財務局長認定
経営革新等支援機関
中小企業診断士・社会保険労務士・弁護士

内田 健太

 

北海道カスハラ条例の制定

カスタマーハラスメント(カスハラ)という言葉は近年一般的に知られるようになりました。カスハラとは、顧客からの理不尽な要求や暴言、脅迫などが従業員に向けられ、精神的な苦痛を与える行為を指します。

カスハラは、従業員の健康だけでなく、企業の評判や生産性にも大きな影響を与えるものとして、今日、企業としての適正な対応を求める声が強くなっています。

特に、北海道においては、全国でも先駆的な試みとして、カスタマーハラスメント防止条例(カスハラ条例)が制定され、今年の4月1日に施行が予定されています。

 

カスハラ条例の制定が企業に与える影響

事業者の役割

カスハラ条例においては、カスハラ防止に関する事業者の役割として、以下の規定があります。

【基本理念】

カスハラ対策が、「事業者等がその従業者等をカスタマーハラスメントから保護し、良好な就業環境を守るための取組として適正な対応を行うことが重要であるという認識の下に、各関連法令の趣旨を踏まえて推進されなければならない」(第3条2項)

【事業者の責務】

事業者は、「道が実施するカスタマーハラスメント対策に協力するとともに、カスタマーハラスメント防止に係る取組を主体的に行う」責務がある(第6条1項)

予想される影響

カスハラ条例が、カスハラ対策の主要な目的の一つが「従業者を保護する」である点を明記するとともに、事業者に対し、カスハラ対策への主体的な取り組みを責務として明確に指摘している点は、北海道内の企業として十分留意する必要があります。

最近では、事業者(地方公共団体を含む)がカスハラ対策を十分に実施しないことが、事業主の従業員に対する安全配慮義務違反に該当するとして、損害賠償訴訟が提起されている例も増えてきています。

カスハラ条例は、従業員のためにカスハラ防止に主体的に取り組む責務を明記しています。このため訴訟において、事業主側の安全配慮義務違反の根拠として主張されることが十分に想定されます。

北海道内の企業においては、条例未制定の都道府県の企業以上に、カスハラに関する対策を主体的に行い、従業員のモチベーションをアップし、健全かつ生産性の高い経営を行うことが、強く求められているといえます。

 

企業が取るべき対策

カスハラ防止策として、事業者がとるべき対策の一例は以下のとおりです。

実際に取るべき措置は、業種や企業規模・風土等、実情に即した形で決めていく必要があります。

1. ハラスメント防止規程の策定・周知

カスハラを明確に定義し、禁止行為や対応を具体的に列挙する。

従業員に規定の意義や内容を周知し、理解を深める。

2. 相談窓口の設置

従業員が気軽に相談できる窓口を設置し、秘密厳守を徹底する。

相談内容に応じて、専門家(弁護士、産業医など)を紹介する体制を整える。

3. 研修の実施

 定期的にハラスメント防止に関する研修を実施し、従業員の意識向上を図る。

ハラスメントが発生した場合の対応方法についても研修を実施する。

4. 記録の保存

ハラスメントに関する相談内容や対応履歴を記録し、証拠として保存する。

5. 顧客への適正な対応

カスハラに関する事業者の考えを顧客にも周知・理解してもらう。

ハラスメント行為を行った顧客に対して、警告や契約解除などの適切な措置を取る。

 

最後に~カスハラ対策の難しさ~

適正なカスハラ防止体制を整えることは、法務リスク回避の点はもちろん、企業のイメージを向上し、健全な職場環境を維持するためにも不可欠です。

他方、カスハラ防止の問題は、顧客満足の問題と鋭い緊張関係に立つため、単に強化さえすればいいというものではありません。法令の趣旨、企業の実情、サービスの品質確保という観点を踏まえつつ、企業の実情に沿った措置が求められているといえます。

弊所では、弁護士・中小企業診断士・社労士等がチームを組んで、各相談者様の実情に応じたカスハラ防止体制整備のためのご提案をさせていただきます

 「自社でカスハラ対策を導入すべきかわからない」

 「どのような対策を導入するべきか相談したい」

 「カスハラ防止条例に沿った取り組みを実施したい」

このようなお悩みをお持ちの北海道内の企業の方がいらっしゃれば、是非、弊所までご相談ください。

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