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【コラム】就業規則の重要性

1 はじめに

私は、弊所において、労働事件に関するご相談を多く受けております。そのご相談の中で、「就業規則が整備されていれば」と感じることがあります。本稿では、就業規則の重要性について2点ほどご紹介申し上げます。

 

2 労働契約の内容を網羅的に規定する機能

新たに労働者を雇用する場合、雇用契約書又は労働条件通知書を作成することになりますが、これらの書面に、労働契約の内容を全て記載するのは困難です。例えば、試用期間、配転命令、遅刻・早退、休職、懲戒等の取扱を全て記載することは現実的ではありません。

仮に、全ての労働契約の内容をこれらの書面に記載する取扱とした場合、記載されなかった部分は労働契約の内容とはならず、また、記載した内容についても、労働者が異議を述べれば都度交渉が必要となり、採用手続が難航するおそれがあります。

そこで、網羅的に労働契約の内容を定めた就業規則が重要となります。就業規則に記載すれば、その内容が合理的である限り、労働者との合意なくして労働契約の内容として認められるからです。

 

3 懲戒権の行使の前提

労働者の中には、企業秩序を乱す問題行動に及ぶ者が一定数存在します。これらの労働者に対しては、必要に応じて懲戒権を行使することによって、企業秩序の維持を図ることが考えられます。

この懲戒権を行使するためには、一般的に、懲戒の事由(経歴詐称、業務命令違反、職場規律違反等)及び種別(けん責、出勤停止、懲戒解雇等)を、就業規則等に定めることが必要と考えられています。仮に、就業規則等に懲戒の事由や種別が記載されていなかった場合、労働者の問題行動に対して適切な処分を行うことができず、企業秩序が維持できないおそれがあるため、この観点からも、就業規則を定めておくことは重要です。

 

4 おわりに

以上のとおり、就業規則には、労働者との関係を規律する重要な機能があります。したがって、常時10人以上の労働者を使用する事業者かどうか(就業規則の作成・届出義務の有無)にかかわらず、就業規則は作成すべきです。

なお、作成した就業規則は、労働者へ周知、すなわち労働者がその内容を確認しようと思えばいつでも確認できる状態にしておくことが必要です。この周知が行われていないと、作成した就業規則の内容が労働条件として認められなかったり、懲戒権の行使が無効と判断されたりするおそれがあります。

皆様におかれましては、本稿を契機として、就業規則の作成・見直しについてご検討いただければ幸いでございます。

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