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税務における弁護士の関わり

税務に関する専門家は税理士であり、弁護士が税務に関する問題にどのように関与することになるのか、疑問に思われるかもしれません。

もちろん、税務においては、税額の計算、申告及び納付の手続き等について、一般措置・特例措置を含む専門技術的な取扱いを正確に把握する必要があり、その専門家である税理士の手助け無くして適正な処理を行うことは困難でしょう。

しかし、租税の賦課及び徴収は、全て法律の根拠に基づく必要があるものとされていますので(租税法律主義)、法律の専門家である弁護士が大いに役立つ場面もあります。

法律の専門家による分析・検討の重要性

  1. 例えば、税務調査を受けた結果、修正申告の勧奨を受け、修正申告に応じるか否かについて検討する場合、あるいは税務署長から更正処分等を受けて、これに対する不服申立を行うか否かについて検討する場合、弁護士の意見を求めることは有効です。

    上述のとおり、租税の賦課及び徴収は、全て法律の根拠に基づく必要があり、納税義務を負うのは、法律の規定する要件(「課税要件」と呼ばれています。)を充足する事実が立証される場合に限られます。

    もっとも、法律が規定する課税要件というのは、意外に曖昧であり、法律の解釈と、その事案における事実関係が法律の規定する課税要件を充足するか否かについての法的評価が極めて重要になってきます。

    所得税の必要経費を例にとれば、所得税の計算上、必要経費として控除が認められる要件についての法律の規定は「これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るために直接要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用」(所得税法37条1項)というものですが、特に「所得を生ずべき業務について生じた」というのは解釈の余地のある概念であり、ある費用がこれに該当しないとして否認されるかどうかは、その費用について、法的な視点からの評価をしてはじめて結論の出る問題です。

  2. また、修正申告や更正処分などにより、追徴課税がなされる場合、本来納める税金に加え、加算税を課されるケースがありますが、中でも「重加算税」という、高額の加算税が課されるか否かが問題となることがしばしばあります。

    この重加算税が課される要件は「納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し」た場合などと法律に規定されています(国税通則法68条1項)。

    そこで、「国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実」がどのようなものであり、それを「隠蔽」又は「仮装」するとはどのようなことなのか、法律の解釈に基づいて検討していかなければなりません。実務上、「隠蔽」又は「仮装」の対象となった「国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実」が何であるのかが特定されないまま、何となく重加算税が課されてしまっているという例は少なくありませんし、また、対象となる事実が特定されたとしても、どのような場合にその「隠蔽」又は「仮装」があったといえるのかについては、判例上、必ずしも判断基準が確立しておらず、その事案ごとに、法的な観点から様々な事情を分析しなければ結論を導くことができません。

    このような問題について、修正申告の勧奨や課税処分がなされる場合、国税庁長官の発する法令解釈通達や、その他の実務上の取扱いに基づいて検討がなされるのが一般です。

    しかし、通達は、法律そのものではなく、最終的に訴訟に至った場合、裁判所は通達に拘束されないため、通達の内容にかかわらず法律の解釈適用を判断されることになります。

    したがって、その通達等に基づく検討結果が、その事案における法律の解釈適用として妥当かどうかについて、法律の専門家により、法的な観点から再検討することが極めて重要です。

  3. あるいは、金融機関などから、節税策についての提案を受けたとします。それが節税策として実際に機能するかどうかは、法的な観点からの検討も不可欠です。

    例えば、その節税策が、単に通達上の取扱いに基づくものであり、法律上の根拠を欠く場合、法律の原則に則って、節税策の適用が否認され、かえって大きな税負担を負うことになるリスクがあります。ここでも、通達に基づく表面的な検討にとどめず、法律の専門家により、法律的な観点から検討をすることが極めて重要なのです。

  4. 当事務所の取り組み

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