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長期間に渡って別居していた後に離婚する場合、年金はどうなるのか?(連載第1回)

1 はじめに

2019年の婚姻件数は599,007件であった一方、離婚件数は208,496件となっており(厚生労働省「人口動態統計(確定数)の概況」2019年)、おおよそ3組のうち1組が離婚するといわれる状況を反映したものとなっています。

離婚される夫婦の中には間もなく定年退職を迎える方や既に年金で生活している方も含まれており、これらの方々の中で一方の配偶者(多くは夫)が受給している年金で家計を賄っている夫婦の場合、年金を受け取っていない他方の配偶者(多くは妻)は離婚によって生活に必要な収入を失う事態になります。

このような事態を避けるための制度として年金分割と呼ばれる仕組みがあるのですが、先日、長期間に渡って別居していた後に離婚する場合、年金はどのようになるのかというご相談が寄せられました。

このため、今回は、まず、離婚の際の年金分割制度について簡単にご説明した後、長期間の別居の後に離婚した場合の年金の取り扱いについてお話しします。

2 年金分割のあらまし

年金分割とは、離婚等をし、一定の要件に該当したときは、当事者の請求により婚姻期間中の厚生年金保険の記録(標準報酬月額・標準賞与額)を当事者間で分割することができる制度であり、合意分割制度と3号分割の二種類があります。

(1)合意分割制度

合意分割制度とは、平成19年4月1日以後に離婚等をし、以下の条件に該当した時に、当事者の一方からの請求により、婚姻期間中の厚生年金保険の標準報酬を当事者間で分割することができる制度です。

①婚姻期間中の厚生年金保険の記録があること

②当事者双方の合意又は裁判手続により按分割合を定めたこと

③原則離婚等をした日の翌日から起算して2年を経過していない

*厚生年金保険の標準報酬とは?

厚生年金保険では、保険給付の額を決定したり、保険料を算定する際に、被保険者が受けている報酬(給料)を基礎にしていますが、便宜上、標準報酬月額という等級区分を設定し、被保険者の報酬(給料)をこの等級に当てはめる方法をとっています。また、賞与についても、被保険者の賞与の額に基づき標準賞与額を決定し、保険給付の額及び保険料を算定します。この標準報酬月額と標準賞与額をあわせて標準報酬といいます。

(2)3号分割制度

3号分割制度は、国民年金の第3号被保険者(扶養されている配偶者)を有する特定被保険者(厚生年金保険の被保険者)が負担した保険料については、夫婦が共同して負担したものであることを基本的認識とし、平成20年5月1日以後に離婚等をし、以下の条件に該当したときに、国民年金の第3号被保険者であった方からの請求により、平成20年4月1日以後の婚姻期間中の第3号被保険者期間における相手方の厚生年金保険の標準報酬を2分の1ずつ、当事者間で分割することができる制度です。

①平成20年4月1日以後に国民年金の第3号被保険者期間がある

②原則、離婚等をした日の翌日から起算して2年を経過していない

年金分割により、厚生年金保険の標準報酬を当事者間で分割した場合は、当事者それぞれの老齢厚生年金等の年金額は、分割後の記録に基づき計算されます。

(A)分割をした配偶者

自身の厚生年金保険の標準報酬から相手方に分割をした標準報酬を除いたその残りの標準報酬に基づき年金額が計算されます。

(B)分割を受けた配偶者

自身の厚生年金保険の標準報酬と相手方から分割された標準報酬に基づき、年金額が計算されます。

 

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