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パワハラかどうかの判断基準とは?(連載第2回)

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5 優越的な関係を背景とした言動とは何か(③)

優越的な関係を背景とした言動について、厚生労働省の指針によれば、

⑴ 職務上の地位が上位の者による言動

⑵ 同僚又は部下による言動で、当該言動を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるもの

⑶ 同僚又は部下からの集団による行為で、これに抵抗又は拒絶することが困難であるもの

が対象となるとされています。

パワハラという言葉を聞いて真っ先にイメージするのは、⑴の職務上の地位が上位の者、すなわち上司による言動と思われます。しかし、パワハラは上司だけでなく、⑵、⑶のように同僚や、部下による言動も対象となる場合があります。

6 業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動とは何か(④)

業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動について、厚生労働省の指針によれば、

⑴ 業務上明らかに必要性のない言動

⑵ 業務の目的を大きく逸脱した言動

⑶ 業務を遂行するための手段として不適当な言動

⑷ 当該行為の回数、行為者の数等、その態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える言動

が対象となるとされています。

パワハラに該当するか判断することが難しいのは、具体的な行為について、上の⑴から⑷のいずれかに該当するか、これを判断することが容易ではないことが原因の1つといえます。

例えば、上司が、部下に対して業務に関する指導を適切に行っていたつもりであっても、指導の方法が不適切(人格を否定するような言動や明らかな暴言・暴力、異常な量の反省文を書かせる等)であれば、上の⑵から⑷のいずれかに該当する行為としてパワハラに該当することになります。

一方で、厳しい指導が必ずパワハラにあたるわけではなく、例えば、部下が再三注意しても遅刻を繰り返している場合には、一定程度強く注意したとしても、上の⑴~⑷のいずれにも該当しないと判断される可能性が高いといえます。

以上のとおり、業務上必要かつ相当な範囲を超える言動か否かは、その判断が難しい問題ですが、上の⑴から⑷を参考に、目的と手段のバランスが取れているかどうかを検討することがポイントになると考えられます。

7 労働者の就業環境が害される場合とは何か(⑤)

労働者の就業環境が害される場合について、厚生労働省の指針によれば、平均的な労働者の感じ方、すなわち同様の状況で当該言動を受けた場合に、社会一般の労働者が、就業する上で看過できない程度の支障が生じたと感じるような言動である場合とされています。

パワハラに該当するか否かは、実際にその言動の対象となった労働者がどのように感じたか、という点が当然重要となりますが、仮にこの点だけで判断されてしまうと、その対象となった労働者の性格によって、同じ言動でもパワハラに該当したり、逆に該当しなかったりといった事態が生じ、判断が不安定になりかねません。そこで、平均的な(社会一般の)労働者がどのように感じるかについても検討することで、パワハラに該当するかの判断を一定程度安定させることができます。

8 最後に

ある行為がパワハラに該当するかどうかは、上の①から⑤の点に全て当てはまるかどうかで判断することになりますが、その判断は容易ではありません。上司の言動がパワハラなのではないか、部下を適切に指導していただけなのにパワハラだと言われた、など職場からの相談に不安や疑問を感じたら、一度お気軽に弊所にご相談ください。

 

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