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空き家の所有者の責任

・社会問題としての空き家の増加

 近時,空き家の増加が重大な社会問題として認知されるようになり,空き家に関連する新しい法律が作られるとともに,空き家に関する報道も増えています。

 総務省統計局が5年ごとに実施している平成30年の「住宅・土地統計調査」によれば,平成30年10月1日時点での日本の総住宅数は6240万7000戸であり,このうち,848万9000戸が空き家であるとの調査結果が示されています。

 つまり,平成30年10月1日時点で,日本の総住宅数のうち13.6%が空き家となっており,過去最高の空き家率となっているのです。

 空き家の発生については,所有者の死亡あるいは高齢化による転居など,様々な原因が考えられます。他方で,空き家となった住宅を取得した原因については,相続による取得が非常に多いとの調査結果も公開されています。

・空き家の問題点

 空き家について想定される重大な問題の一例を挙げると,次のとおりです。

  ①老朽化あるいは災害による倒壊あるいは屋根や外壁の落下の危険

  ②火災発生あるいは第三者による放火の危険

  ③ごみが不法投棄される危険

  ④衛生環境の悪化

  ⑤風景,景観への悪影響

・空き家の法的リスク

 このような問題を抱えている空き家について,ご自身が新築又は購入したものあるいは相続等によって取得したものにかかわらず,空き家を適切に管理しなかったことで第三者に損害を生じさせた場合には,これを賠償すべき責任を負う可能性があります(民法717条1項,土地工作物責任)。

 例えば,空き家が老朽化し,台風で屋根や外壁が落下して,通行人や隣人が死亡あるいは怪我させた場合,あるいは,その屋根や外壁が近隣の住宅を破壊した場合には,それによって発生した損害を賠償する責任を負うこととなります。あるいは,火災が発生した場合に,それに関する損害賠償責任を負うこともあり得ます。

 このように,空き家は,社会問題というだけではなく,その所有者である場合には空き家が原因で発生した問題について損害賠償責任を負うことがあるのです。

 したがって,空き家を所有している場合には,思わぬ損害賠償責任を負うことのないよう,その空き家の現況等を適時に調査・把握しながら,適切に管理あるいは処分等を行う必要があると考えられます。

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