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2024年 年頭所感『消滅する仕事、沸騰する地球、争い続ける国家。それでも、平和と尊厳を希求する』(所長 弁護士 村松弘康)

村松弘康

村松法律事務所
所長 弁護士 村松弘康

1 加速の時代

昨年、最高裁は、生殖機能喪失手術を性別変更の要件として事実上義務付ける法律について、違憲で判決を下しました。同判決は、最高裁が2019年に下した合憲判決を自ら変更するものです。最終審である最高裁判所が、わずか4年の間に自身の判断を変更するという事態は、異例というほかありません。

このような事態は、現代における社会情勢の変化速度が急加速していることを端的に示すものといえます。

依頼者の皆様が抱えているお悩みも、複雑化が進んでおり、解決の道筋を示すことが容易ではないものが増えていることを日々の業務において実感しております。

このような複雑困難な時代において事務所の初心である「困難に遭遇し立ち往生している依頼者の皆様の最後の砦」であり続けるため、従前の取り組みを漫然と続けるのではなく、時代の変化に応じた更なる発展・進化に向けて努力いたします。

 

2 今年の重点目標

⑴ 本年度は「裁判力強化」を重要テーマの1つとして取り組んでまいります。

近年、生成型AIによる弁護士業務の浸食が問題になっていますが、訴訟の代理人になれるのは弁護士だけです。
判決が裁判官という「人」により下されるものである以上、「人」である弁護士による訴訟活動こそが、AIには代替できない弁護士業務の根幹部分だと考えています。

本年度は、改めて弁護士としての原点に立ち返り、「裁判を通じて依頼者の利益・社会正義を実現する最強の法律事務所」を目指します。

冒頭に述べた最高裁判決が示すとおり、現代社会においては、過去に適切であった法解釈が、社会情勢に応じて不適切になるという事態は決して珍しくありません。
漫然と先例を踏襲するのではなく、常に依頼者と向き合い、社会情勢の変化にもアンテナを張り、徹底的な証拠収集活動・主張活動を通じ、勝つべき事件に競り勝つことを目指す戦闘集団であるべきだと考えています。

⑵ そのような法律事務所となるために、まずは個々の弁護士が専門性を強化し、各々が「この分野ではだれにも負けない」といった強力な武器を持つよう、研鑽を積んでまいります。その上で、訴訟専門チームを構築して、あらゆる訴訟事件について、複眼的な視点から徹底的な訴訟活動を行えるような組織体制を実現できるよう努力いたします。

法的な観点のみならず、他の分野からの専門的知見も要する事件については、会計・金融・行政等の専門家集団である当事務所の戦略的協働チームの協力も得て、複合的・全体的観点から適切な訴訟活動が遂行できるよう努力いたします。

⑶ このように、個々の弁護士の裁判力強化と、事務所の組織としての裁判力強化を同時に行うことで、「依頼者の皆様の最後の砦」であり続けられるよう努力いたします。

⑷ 昨年から取り組んでいる、「戦略的協働チーム」による企業の意思決定支援サービス及びゆとりろやフロンティアカレッジをはじめとする社会貢献活動についても、当事務所として引き続き発展・強化できるよう努力いたします。戦略的協働チームの活動内容については、本ニュースレターにおいてチームメンバーの対談記事も掲載しておりますので、そちらもご覧いただけますと幸いです。

3 AI から AGI( ARTIFICIAL GENERAL INTELLIGENCE)の時代へ

対話型の生成 AI (人工知能 ) チャット GTP が、世界に衝撃を与えてから1年が経過しました。万能 AIと言われているAGIの開発が進み、数百万種類の知的作業の可能性が現実味を帯びてきています。企業戦略の立案など論理的思考を補う技術が確立されれば、法律に関わる業務の一部もAI にとって代わられる日も近いものといわざるを得ません。グローバルな世界の拡大と、汎用AIの開発、DXの急速な拡大は、仕事の多くを消滅させ、新しい仕事をうみ出すに違いないと信じています。

そして、新しい仕事に従事するための学びが追いつかなければ、雇用の機会を得られず失職するしかないという強い危機感を持っています。

4 地球沸騰、気候変動

2003年7月 国連のグテーレス事務総長は、地球温暖化の時代は終わり「沸騰の時代」が到来したと宣言しました。

世界気象機関(WMO)は、2023年10月末までに、地球の平均気温は産業革命前よりも1.15℃上昇し、温暖化の原因となる二酸化炭素濃度は1.5倍に達したと発表しました。2023年はイタリアで48.2℃、モロッコで50.4℃、日本でも 7月1日に全国6地点で40℃を超えたと報道されています。また、干ばつ、洪水、豪雨、台風が多発し、氷河の融解、海面上昇の進行が止まりません。

5 戦争

ウクライナ、ガザ、ミャンマーなどの地域で多くの争いが起き、停戦の目処がたっていません。ガザでは、死者の3人に2人が民間人であり、電気、水、食料を遮断され、病院の機能も停止されたうえ、人道的支援の道も閉ざされています。

国連のグレーテス事務総長は、12月7日国連憲章99条を発動し、ガザ地区での人道的停戦の判断を安保理に要請したが、アメリカの拒否権発動によって決議案は否決されました 。最大の人権侵害である戦争を停止する勇気が試されています。

6 争っている場合か

AIは、これまでの仕事を消滅させ、新しい仕事を産み出し、気候変動は人類の生存の基盤を崩壊させ、戦争は、局地的であれ、人々の日常生活の平穏を破壊し、多くの生命を奪い続けます。来たるべき新しい時代における人類の発展を保障する仕組みを構築しなければなりません。これらの未来を創造する作業は平和がなければ遂行不能です。争いは対話で解決し、武力を用いた戦争を回避することは、これからのリーダーの最も重要な責務であると考えています。

ウクライナや台湾有事などを理由に、軍事費に多額の予算を計上し、軍事産業、軍事研究を本格的に開始することになれば、元に戻ることはほぼ不可能になることは歴史の教訓です。

11月13日 東大本郷キャンパスで東大とNATOなどが共済して学術イベントが開催されました。敗戦後、平和主義をうたって軍事研究を拒否してきた日本の大学が再び軍事研究に踏み出すことになれば、いつか来た道への逆戻りになりかねません。

軍事費の増額と、軍事研究に道を開こうとするのであれば、開かれた国民的議論が不可欠です。武力を用いずに平和を守り続けることは容易ではありませんが、一旦戦争になればその被害は甚大です。日本がこのまま、なし崩し的に軍事国家の道を進もうとするのであれば、310万人の犠牲者を出した第2次大戦の戦争責任の所在をもう一度思い出す必要があります。

 

「戦争のための最新鋭で強力な兵器を製造しながら、平和について話すことなどどうしてできるでしょうか」

「真の平和とは非武装の平和以外にありえません」

 

1919年11月23日長崎と広島でローマ教皇フランシスコが語った言葉こそ人類の未来の姿であると考えています。

 

 

所長 村松弘康が「高次脳機能障害事件」の補償回復について話をしています。

 

「奇跡のりんご」木村秋則さんとの出会いのきっかけともなった、
社会的事件<余市りんご無農薬裁判事件>を振り返っています。

Part.1

Part.2

Part.3

Part.4

 

 

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