

【企業法務コラム】「不当な口コミにお悩みの経営者の皆様へ」(元札幌地裁裁判官・労働審判官 内田健太)
1 口コミによる誹謗中傷への対応(削除、損害賠償、刑事告訴)
弁護士の内田です(自己紹介はこちらをご参照ください。)
最近、北海道(札幌)の病院や飲食店の方から、
「グーグルマップでの不当な口コミを削除したい」
という相談を受ける機会が増えてきました。
何かサービスを受ける場合に、まずはグーグルマップの口コミを参考にすることはもはや当たり前の状況になっています。
忖度のない口コミは、利用者にとって有益な面があることは事実ですが、グーグルマップに不当な口コミを書かれた場合には、経営上も大きなダメージを受けることになります。
加えて、自身が全力で取り組んでいる事業について、根拠のない誹謗中傷をされることは、経営者の気持ちとしておよそ許せないものでしょう。
根拠のない誹謗中傷口コミは、民事上の損害賠償の対象となることはもちろん、名誉毀損罪や侮辱罪等、刑事罰の対象にもなり得る行為です。
「表現の自由は重要だ」という一般論には何ら異論がありませんが、経営者側には、グーグルマップに掲載されるかどうかを選択する権利がありません。そのような状況で、匿名での誹謗中傷を受任するべき理由は一切ありません。
不当な口コミに対しては、削除請求はもちろん、損害賠償請求や刑事告訴等、毅然とした対応が必要です。
2 消せる口コミと消せない口コミ
皆様気になるのは
「不当な誹謗中傷(違法な口コミ)」と「正当な批判(適法な口コミ)」の区別
だと思います。
私自身、裁判官時代に口コミの削除請求の案件を担当していましたが、この判断にはいつも悩まされていました。
削除対象かどうかは、大きく分けて2つの観点から判断していくことになります。
1つ目は、「『事実』と異なる記載があるか」という点です。事実と異なる記載があると、削除対象になる可能性が高くなります。
例えば、「医師の態度は誠実でなかった」という口コミは評価ですが、「医師から『あなたの言い分を聞くつもりはない』といわれた」というのは事実です。後者の口コミの方が、「虚偽の事実が記載された口コミである」として削除が容易になります。
2つ目は、「明確な誹謗中傷意図が読み取れるか」という点です。評価に関する表現であっても、明確な人格攻撃・誹謗中傷が目的の記載については削除対象になる可能性が高くなります。
例えば、「医師の態度は誠実ではなかった」という程度を超えて、「人格的に破綻した最低の医者であり、人としての価値がない」といったような口コミであれば、評価に関する記載であっても削除が容易になります。
上記の2点を中心に、最終的には個々の口コミを見て、削除可能性に関する法的な見通しを立てていくことになります。
3 最後に
自身が全力で行っている事業に対し、心のない口コミをされた場合のダメージは図り知れません。
ご相談いただければ、法的な削除の見通しを含め、できる限り明確な方針を示せるように努めます。不当な口コミにお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。
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